(10)イスラーム

 キリスト教だとか仏教だとかいう呼び名は後から他称として付けられた名ですが、「イスラーム」は、クルアーンの中でアッラーによって命名された宗教名です。『まことに、アッラーの御許における宗教はイスラームである』(第3章19節)、『イスラーム以外を宗教として求めた者、彼は彼(アッラー)から受け入れられることはなく、彼は来世では損失者のひとりである』(第3章85節)。

 「イスラーム」とは、「身を委ねる、服す」という意味の動詞からの派生語で、「帰依」という仏教用語がまさに訳語としてぴったりです。先に引用したクルアーンの言葉も、狭い意味での「イスラム教」ではなく、「帰依」という意味で読むべきでしょう。つまり、およそ絶対者との関係としてありうべきは絶対帰依以外にはない、ということです。

 アッラーは人間を「イスラーム」の天性の元に作り給いました。仮に、無人島でたった一人で暮らし、ムハンマドという預言者の名もクルアーンという啓示の書のことも知らなかったとしても、天性のイスラームに基づいて創造主を認め、彼に感謝と賛美を捧げ、謙虚に御心に従おうとするなら、その人は帰依した人、ムスリムなのです。