まえがき

 フランスでの入信とそれまでの模索の過程を綴った「入信記」、入信から半年後、クルアーンをアラビア語で読みたいという衝動を押さえかねて渡ったカイロでの、エジプト人家庭で過ごした九ヶ月の生活を綴った「エジプト通信」、結婚後、専門調査員としてリヤードに赴任した夫と共に過ごした二年間の滞在日記「サウディ日記」のほか、ヒジャーブ(ヴェール)の内側の感情を描写した「ヴェールの内側から」、サウディ滞在中に果たしたハッジの記録「ハッジ録」など、入信から5年ほどの間に書き綴った文章を収録した。

 一人でも多くの人に読んでもらいたいと出版を思い立ったのだが、あとがきに記すように、原稿を出版社に手渡した直後に参加したロスのイスラーム会議で、私は、私の信仰生活を新たな次元に誘う出会いを得た。そして、図らずも、本書は私の五年のムスリム生活を総括するものとなった。新たな次元に踏み出した私が、今後どのような精神的変容を遂げるか、それをいつかまた綴る機会があることを祈る。