5月19日

 先週末のマッカ行きに続き、今週末はマディーナに1泊旅行した。

 5時過マディーナの空港に着くと、ちょうど雨が降り始めたところだった。小走りにタクシーまで急ぎ、乗り込んでまもなく雨は大降りに変わった。バケツの水をぶちまけたような雨に前がよく見えない。道路もたちまち川のようになり徐行運転になった。道路脇の小路から小川が本流に出会ったような勢いで水が流れ込んでくる。稲光がして、体の芯まで響くような落雷が間近に聞こえる。それでいて先の山の向こうには沈もうとする太陽が雲の間から覗き、光線を伸ばしている。雨は相変わらずの土砂降りだ。

 タクシーは徐行運転から渋滞になり、ほとんど前に進まない。どうやらマディーナの町に続く道路が雨で不通になってしまったようだった。やむを得ず、元来た道を空港近くまで戻り、別の道を通って大回りをすることになった。そのころには雨も小降りになり、やがて完全に止んだ。道路の両側は、黒っぽいごつごつした岩だらけの不毛の土地が続く。しばらく車を走らせていると、ところどころ道路際に車が止めてあるのが目に着く。大雨のせいで故障し、車が動かなくなったのだろうか。止めた車から降りて、小さな岩山などに人が登ってあたりを見渡している。地質調査でもしているときに雨にあったのか。さらに車を走らせて行くと、今度は女性の姿が目に留まった。子供もいる。一台だけでない。道路沿いのあちこちに車が止めてあり、近くの岩原に家族づれらしい人影がぶらぶら立っている。ピクニック中に雨が降りだしたのだろうか。どうも腑に落ちず首をかしげているうちに、ふと、サウディ人は雨が降ると喜んで外に出掛けるらしい、と誰かが言っていたのを思い出した。それを思い出してはたと納得した。彼らはピクニックの途中で雨に降られたのではない、雨が降ったので繰り出して来たのにちがいなかった。