5月13日

 サウディアラビア滞在も余すところ2週間となったが、リヤードを去る前にどうしても行っておかなければならない場所がまだ残っていた。マッカである。すでに巡礼月に入っていたのでマッカ市内にはホテルが取れない。やむを得ないから車で1時間のジェッダに宿泊することにした。

 思い出に金曜礼拝をマッカで、と木曜遅くにイフラーム(巡礼の禁忌)でジェッダ入りし、金曜の朝、ハイヤーでマッカに着いたのだが、すぐに金曜を選んだ浅はかさに気づいた。聖モスクは中に入ろうとする人々で一杯だった。すでにモスクの外の広場にも礼拝者がびっしり座り込んでいる。それでもせっかく来たんだからとその人波に乗って私たちもモスク内に入り込んだのだが、押されて脇に座った人達の上に転びかぶさりそうになって怖い。立ち往生しているうちにフトバ(説教)が始まった。無理に座ろうにも空間はなく、しかも四方は男性だけなので、ともかくそこで夫とは別れ、ぐいぐい人を押しのけて進んで行くおばさんのあとにぴったりくっついて少し前方の女性の塊にたどり着いた。しかし、そことても場所はなく、ようやく階段状になったところに座り込んだ。入り口からの押しくらまんじゅうで精根尽き、座った途端に涙が出た。ほどなくして説教が終わり、そのまま段のところで礼拝をするはめになった。サジダ(跪拝)の時には一段下の段に体をねじ曲げて頭をつけなければならなかった。

 礼拝後、ウムラを始めた。カアバの周囲を7周した後、2つの丘の間を7回行き来するだけだが、カアバの周囲には覆いがないため、真昼の太陽にさらされた。女性は頭に被り物をしているからいいが、イフラーム中の男性は被り物ができないため、直射日光を頭に浴びる。ウムラが終わったときには熱に弱い夫は軽い日射病気味で、買い物する元気もなく、帰りのタクシーに転がり込むように乗り込むのがやっとだった。