93年1月20日

 大使館に勤める夫が、キングサウド大学に新設される日本語科の講師を求めて訪日する大学講師の渡航書類作成のため彼の生年月日を聞いたところ、わからないという答えだったと驚いていた。年は42だというから年寄りの話ではない。しかも、大学では英語を教えているというから、西欧文化に親しむ環境にある教養人だ。そんな人が自分の誕生日が分からない、というのだ。

 確かに、イスラームでは祭りは断食明けと犠牲の祭りの2つと定め、それ以外の祝い事といったら結婚式ぐらいである。特にワッハーブ主義のサウディアラビアでは、エジプトのように預言者ムハンマド(彼に平安あれ)の誕生日を祝ったり、聖者の誕生日を祝ったりすることは一切しない。そうした祝い事が偶像崇拝に繋がる恐れがあるからだ。だから個人の誕生パーティーなんていうものもほとんどしない。誕生パーティをしないのはいいが、誕生日ぐらい覚えておかないものだろうか。親は子に、お前はいつ、どんな季節に生まれた、というようなことを語って聞かせないものだろうか。もっとも、子供が1人や2人ならば誕生日も覚えていられようが、5人6人となっていけばもうわからなくなってしまうものかもしれない。

 夫の話によると、サウディアラビアの官報には、誕生日問い合わせコーナーというものがあるらしい。自分の誕生日がわからない者が役所に申し出て、誕生日をつけてもらうのだと言う。何を根拠に日を定めるのか知らないが、つけてもらった誕生日が書類上の誕生日となるらしい。