10月12日

 カイロで大きな地震があった。多くのビルが崩壊して400人あまりの犠牲者が出たという。ああ、やっぱり。ニュースを知ったときに最初に口に出たのはその言葉だった。やっぱり私が心配していたことは杞憂ではなかったのだ。カイロに住んでいたころは、ビルの骨組みのいい加減さに、こんなで大丈夫なのかしら、と不安な思いで建設中の建物を見上げることがよくあったからだ。四隅ににょきにょきと立った細い鉄筋、あとはレンガを積み上げただけ、という本当に原始的な建て方をしている。地震国の日本ではとても通用しない建て方だが、エジプトなら地殻の違いでおそらくこれでも間に合うのね、と無理に納得しようとしていたが、やっぱりまずかったのだ。普通ならばこの程度の地震でこれほど大きな被害がでるはずはない、と新聞は書いている。

 カイロの知人の安否が気遣われるが、何度かけても電話が通じない。問い合わせの電話が殺到して回線がパンク状態にあるのだろう。日本から届く母や妹、友人の手紙の中でもカイロの私の知人たちの安否が問われている。一年ちょっと前まではなんの縁もない遠い国だったエジプトが私の9か月の滞在を通して私の周囲の人間にとっても今ではずっと身近な国になっているのだから不思議なものだ。