12月10日

 「ソビエト連邦が消滅してしまったようだよ」と学校で会った日本人の友人が言うので、エジプトにきて以来、新聞は読まずテレビも見ず、時事からは完全に遠ざかっていたが、初めて英字新聞を買ってみた。そこに記載された読者からの手紙がおもしろかったので紹介しようと思う。筆者はアメリカ人だろう。

 「妙なことですが、カイロ市内を無事に歩く最良の方法は、歩道を歩かないことだとわかりました。歩道には思わぬ穴が空いていたり、セメントやタイルのかけらが落ちていたり、どういうわけかところどころにセメントや鉄筋が突き出ているからです。転ばないようにするには常に足元に注意していなくてはなりません。へたをすれば足をくじいたり、さらに悪いけがをする恐れすらあります。しかし道路には道路で、人をひっかけんとばかりに向かって来る車があります。そこで、車が少ないときは道路を、交通が激しく身の危険を感じたときには脇を歩くことにしました。」

 まったく同感だ。穴はある、セメントの残骸がある、さらに店と店との境界が、まさに境界線のように10センチ程高くなっていたりするからいちいちまたぐようにして歩かなくてはならない。要するに、歩道は人が歩くようには出来ていない、と結論するしかないような状態なのである。

 新聞の読者の手紙欄にはもうひとつ手紙が記載されていた。その手紙は一旅行者からの手紙で、エジプトがこんなに寒くなるとは知らなかった、冬支度をしてこなかったので大変困った、という内容のものだった。確かに私も来る前はエジプトの冬というものが想像できず、荷物が一杯だったせいもあって、冬服はまるで用意してこなかった。

 家ではきのうから夜には石油ストーブをつけ始めた。といっても、きちんと厚着をすれば暖房器なしでしのげない寒さではない。しかし、驚くことに、今でも家のみんなははだしで、靴下をはこうとしない。

 1週間程前に私の部屋にビニール製のむしろにかわってじゅうたんがはいったが、その前に部屋中を洪水のように水浸しにして掃除していた。日本の家の感覚ではとても考えられないような掃除法だ。普段の掃除も、水浸しの雑巾で床を拭き、水を掃き流すようにしてやっている。結局、足が濡れることが多いから靴下をはかないのだろうけれど、よくも寒くないものだと思う。